それが会社のために片腕[#「片腕」に「×」の傍記]を台[#「台」に「×」の傍記]なしにした犠牲者への手当だった。
「これを見ろ、たった[#「たった」に「×」の傍記]百円だぞ。会社のためになく[#「なく」に「×」の傍記]した片腕の代償[#「代償」に「×」の傍記]が、たった[#「たった」に「×」の傍記]百円だぞ。しかもこの片腕は、金持[#「金持」に「×」の傍記]ちの片腕たア少しちがうんだ。この腕以外に何の資本も持たねえ俺[#「俺」に「×」の傍記]たちの腕――」
「犠牲者[#「犠牲者」に「×」の傍記]に千円よこ[#「よこ」に「×」の傍記]せ!」
 第二のストライキ[#「ストライキ」に「×」の傍記]だ。
 そのストライキに入る前の日、交渉決裂の見とおしで忙しい最中だったが、俺は少しの暇を狙って甲吉の病床を見舞った。
「俺のためにストライキをやるなア、止して呉れ」と甲吉が云った「俺ア、この前裏切ったんだから、斯うなるなア因果だと思って諦めてる」
 俺は笑った。
「お前えのためじゃねえよ。プロレタリアート[#「プロレタリアート」に「×」の傍記]のため[#「ため」に「×」の傍記]に、だよ」
「でも、
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