こまでも日本式《にほんしき》な小綺麗《こぎれい》さ、行儀《ぎやうぎ》よさで、たとへば卓子《テーブル》の上《うへ》にも青羅紗《あをらしや》とか白《しろ》ネルとかを敷《し》いて牌音《パイおと》を和《やはら》げるやうにしてあるのが普通《ふつう》だが、本場《ほんば》の支那人《しなじん》は紫檀《したん》の卓子《テーブル》の上《うへ》でぢかに遊《あそ》ぶのが普通《ふつう》で、寧《むし》ろさうして牌《パイ》の音《おと》の高《たか》いのを喜《よろこ》ぶらしい、だからこそ、その時《とき》も紫檀《したん》の堅《かた》い面《めん》を打《う》ち、またその上《うへ》でひつきりなしにかち合《あ》ふ麻雀牌《マアジヤンパイ》の音《おと》が窓向《まどむか》うながらそれほどさはやかにも聞《きこ》え、如何《いか》にも支那風《しなふう》の快《こころよ》さで僕《ぼく》の耳《みゝ》を樂《たの》しませたのに違《ちが》ひない。
 同じ麻雀《マアジヤン》でもそれぞれの國民性《こくみんせい》に從《したが》つて遊《あそ》び方《かた》なり樂《たの》しみ方《かた》なりが自然《しぜん》と違《ちが》つてくるのは當《あた》り前《まへ》の話《はなし》
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