く》らか笑《わら》ひ交《まじ》りに答《こた》へられながらも、さすがにばくち[#「ばくち」に傍点]好《ず》きな支那人《しなじん》だ、恐《おそ》ろしく凝《こ》つた、洒落《しやれ》た物《もの》を使《つか》ふなアぐらゐにほとほと感心《かんしん》してゐたやうな程度《ていど》で、もとよりどんな風《ふう》に遊《あそ》ぶのかも知《し》らなかつたのだが、さてその窓向《まどむかう》から時折《ときをり》談笑《だんせう》の聲《こゑ》に交《まじ》つてチヤラチヤラチヤラチヤラ聞《きこ》えてくる麻雀牌《マアジヤンパイ》の音《おと》、それがまたあたりがあたりだけに如何《いか》にも支那風《しなふう》の好《この》ましい感《かん》じで耳《みゝ》に響《ひゞ》いたものだつた。
 近頃《ちかごろ》、東京《とうきやう》に於《お》ける、或《あるひ》は日本《にほん》に於《お》ける麻雀《マアジヤン》の流行《りうかう》は凄《すさ》まじいばかりで、麻雀倶樂部《マアジヤンくらぶ》の開業《かいげふ》は全《まつた》く雨後《うご》の筍《たけのこ》の如《ごと》しで邊鄙《へんぴ》な郊外《かうぐわい》の町《まち》にまで及《およ》んでゐるやうだが、そこはど
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