ゝか》ひを交《まじ》へてゐたものらしい。
「林茂光《りんもくわう》がくるやうになつてから、だいぶすべてが調《とゝの》つて來《き》たが、僕《ぼく》はその時分《じぶん》から大概《たいがい》負《ま》けなかつたよ。」
と、これも佐佐木茂索《ささきもさく》の自慢話《じまんばなし》だ。
その頃《ころ》、それが賭博《とばく》との疑《うたが》ひを受《う》けて、或《あ》る晩《ばん》一|同《どう》がその筋《すぢ》から取《と》り調《しら》べを受《う》けるやうな事件《じけん》が持《も》ち上《あが》つたが、取《と》り調《しら》べる側《がは》がその技法《ぎはふ》を知《し》らないので誰《だれ》かが滔滔《たうたう》と講釋《かうしやく》をはじめ、係官《かゝりくわん》を烟《けむり》に卷《ま》いたといふ一|插話《さふわ》もある。勿論《もちろん》、何《なん》の事《こと》もなく疑《うたが》ひだけで濟《す》んだのだが、一|夜《や》を思《おも》はぬ所《ところ》で明《あ》かしてしまつた誰彼《たれかれ》、あまり寢覺《ねざ》めがよかつた筈《はず》も無《な》いが、何《なん》でも物事《ものごと》の先驅者《せんくしや》の受難《じゆなん》の
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