か》の竹《たけ》の木目《もくめ》をすつかり暗記《あんき》してしまふといふいんちき[#「いんちき」に傍点]師《し》のことだ。而《しか》も、その暗記《あんき》の仕方《しかた》といふのが、先《ま》づ日光《につくわう》の中《なか》で、次《つぎ》は曇《くも》り日《び》、次《つぎ》は夕方《ゆふがた》、次《つぎ》は電燈《でんとう》、結局《けつきよく》最後《さいご》に蝋燭《らふそく》の光《ひかり》の中《なか》でといふ風《ふう》に明暗《めいあん》の順序《じゆんじよ》を追《お》つて眼《め》を慣《な》らしながら研究《けんきう》暗記《あんき》し、乏《とぼ》しい明《あか》るさの中《なか》でもこの木目《もくめ》はこの牌《パイ》とすぐ分《わか》るやうに努力《どりよく》するのだと言《い》ふ。言《い》はば勝《か》ちたいといふためのその執拗《しつえう》な努力《どりよく》、勿論《もちろん》外《ほか》の牌《パイ》を使《つか》ふことにでもなれば何《なん》の役《やく》に立《た》たう筈《はず》もないのに、そんな骨折《ほねを》りをするといふ根氣《こんき》よさ、陰澁《いんじふ》さ、それが外《ほか》ならぬ麻雀牌《マアジヤンパイ》のあの木
前へ
次へ
全33ページ中21ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
南部 修太郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング