どと年甲斐《としがひ》もなく男《をとこ》一|匹《ぴき》がそんな下《くだ》らないことを考《かんが》へたりするのも、麻雀《マアジヤン》に苦勞《くらう》した人間《にんげん》でなければ分《わか》らない味《あぢ》かも知《し》れない。

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「知《し》らない支那人《しなじん》と麻雀《マアジヤン》を遊《あそ》ぶのはよつぽど注意《ちゆうい》しなければいけない。」
 とは或《あ》る向《むか》うの消息通《せうそくつう》が僕《ぼく》に聞《き》かせた詞《ことば》だが、ばくち[#「ばくち」に傍点]好《ず》きで、またばくち[#「ばくち」に傍点]の天才《てんさい》の支那人《しなじん》だけに麻雀道《マアジヤンだう》に於《おい》ても中《なか》には恐《おそ》ろしい詐欺《さぎ》、いんちき[#「いんちき」に傍点]を企《くはだ》てるものが可成《かな》りあるらしい。そして、その仕方《しかた》もいろいろ聞《き》かされたが、僕《ぼく》が如何《いか》にも支那人式《しなじんしき》だなと一|番《ばん》感心《かんしん》し、且《か》つ恐《おそ》るべしと思《おも》つたのは、百三十六|個《こ》もある麻雀牌《マアジヤンパイ》の背中《せな
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