も不愉快です。先生はお笑いになつたこともありません、何時もぶりぶりしておいでです。そしてぢきに呶鳴つたり腹を立てたりなさるぢやありませんか。」私はひどく眞面目で、ひどく得意だつた。自分が Patriot でもあるやうな氣持になつてゐた。そして自分の一言一句がクラスの全體から力強く同感されてゐる快さに醉つてゐた。
「そりやあ君達が熱心に勉強しないからだ。私だつて感情の動物である點に變りはない。君達が一所懸命にやれば愉快になる、然し……」
「それは違ひます。先生が私達を勉強するやうに教へて下さらないからです。」
「生意氣云ふな……」先生は再び顏に朱を注いで、嶮《けは》しい聲で呶鳴りつけた。
「生意氣ではありません。事實さうです。」私はむきになつて疊み掛けた。「私達は先生の講義を受けようとは思ひません。」
「さうだ、さうだ。」
「しつかりやれ……」教室は劇しくどよめいて、みんなの聲がこんがらがつた。
先生はふいと口を噤《つぐ》んだ。そして窓の方に顏を反《そむ》けて佇《たたず》んだ。黒のモオニングを着た先生の背中は幽かに波打つてゐた。怒りの感情の高潮しきつたその眼には、何時か涙が潤《うる》ん
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