ちへん」が「ごんべん」、第4水準2−88−74、87−6]ウ、あなたのいつもの癖《くせ》にきまつてるわ。ねエ、子供《こども》の洋服《やうふく》や靴《くつ》は必要品《ひつやうひん》よ。それに、月末《つきずゑ》だつてもう近《ちか》いんだし、何《なに》もそんなあつてもなくつてもいい壁掛《かべかけ》なんかを今《いま》お買《か》ひになることないぢやありませんか」
「分《わか》らないなア、仕事《しごと》に使《つか》ふんだつて‥‥」
「よして頂戴《ちやうだい》、そんな逃《に》げ口上《こうじやう》は‥‥」
と、妻《つま》は強《つよ》く夫《をつと》の詞《ことば》を遮《さへぎ》りながら、眼《め》の前《まへ》の更紗《さらさ》模樣《もやう》に侮蔑的《ぶべつてき》な視線《しせん》を投《な》げた。
「とにかく、あなたが始終《しじふ》こんな氣《き》まぐれな贅澤《ぜいたく》ばかりなさるから、月末《つきずゑ》の拂《はら》ひが足《た》りなかつたり、子供《こども》の身《み》のまはりをちやんとしてやれないのよ。考《かんが》へても御覽《ごらん》なさい、夏繪《なつゑ》は來年《らいねん》もう學校《がくかう》よ。暫《しばら》くはま
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