な》の所《ところ》へ舞《ま》ひもどつて來《き》た。
「まア、あの蜘蛛《くも》どうしたの? 死《し》んぢやつてるのね?」
「うん、蜂《はち》に殺《ころ》されたんだよ。そして、あれが蜂《はち》の子供《こども》の御飯《ごはん》になるんだよ」
「御飯《ごはん》に?」
「うん、だから見《み》てて御覽《ごらん》。今《いま》にあの穴《あな》の中《なか》へちやんとおしまひするから‥‥」
「蜘蛛《くも》なんておいしくないね、パパ‥‥」
敏樹《としき》が上《うは》ずつた聲《こゑ》を挾《はさ》んだ。
「でも、蜂《はち》の子供《こども》には御馳走《ごちさう》なんだよ」
穴《あな》の二三|寸《ずん》手前《てまへ》に降《お》りた蜂《はち》は、やがて頭《あたま》と前脚《まへあし》で蜘蛛《くも》の死骸《しがい》を穴《あな》の深《ふか》みへ押《お》して行《い》つた。そして、それを押《お》し入《い》れきつてしまふと、蜂《はち》は今度《こんど》は逆《ぎやく》にあとずさりしながら、自分《じぶん》の尻《しり》の方《はう》を穴《あな》の中《なか》へ差《さ》し込《こ》んだ。と同時《どうじ》に、穴《あな》のそとに出《で》た頭《あ
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