へてはゐながら、何時《いつ》の間《ま》にかトロリと瞼《まぶた》が落《お》ちて、首《くび》がガクリとなる。足《あし》がくたくたと折《を》れ曲《まが》るやうな氣《き》がする。はつと氣《き》が附《つ》くと、前《まへ》の兵士《へいし》の背嚢《はいなう》に鼻先《はなさき》がくつついてゐたりした。
「眠《ねむ》つては危險《きけん》だぞ。左手《ひだりて》の川《かは》に氣《き》を附《つ》けろ‥‥」と、暫《しばら》くすると突然《とつぜん》前《まへ》の方《はう》で小隊長《せうたいちやう》の大島少尉《おほしませうゐ》の呶鳴《どな》る聲《こゑ》が聞《きこ》えた。
私《わたし》はきよつとして眼《め》を開《ひら》いた。と、左手《ひだりて》の方《はう》に人家《じんか》の燈灯《ともしび》がぼんやり光《ひか》つてゐた――F町《まち》かな‥‥と思《おも》ひながら闇《やみ》の中《なか》を見透《みすか》すと、街道《かいだう》に沿《そ》うて流《なが》れてゐる狹《せま》い小川《をがは》の水面《みづも》がいぶし銀《ぎん》のやうに光《ひか》つてゐた。霧《きり》は何時《いつ》しか薄《うす》らいで來《き》たのか、遠《とほ》くの低《ひく
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