」
「変な名だな。それがみな、暗闇祭へ来たのか」
「揃って来たこともありましたが、近在の百姓衆の財袋《さいふ》を抜いたところで高が知れております。しかし、まあ、悪戯《いたずら》をするのが面白いんで、たとえば神様のいらっしゃる境内をも憚《はばか》らず、暗闇を幸いに、男女が密談などしているのを見付けては、知らない間に二人の髷《まげ》をちょん切って置いたりなんかして、脅かしてやりまして、以後そんな不謹慎な事をしないように誡《いまし》めてやりますので」
「去年も五人揃って参ったか」
「それが旦那、それからがお話でございます。夜泣きの半次は御用になりまして、まだ御牢内に居ります。煙の与兵衛は上方へ行って居りまして、一昨年には節穴の長四郎と、逆ずり金蔵と、私と、三人連れで参りましたがね。その時に、えらい目に遭《あ》いましてねえ」
五
奇怪極まる五郎助七三郎の話に、小机源八郎はすっかり聴き惚れてしまったのであった。
「どんな目に遭ったのか」
五郎助七三郎は少しく興奮して、
「あんなのを天狗とでも云いましょうか。夜目の利く私達よりも、もっと夜目の利く山伏風の大男がね。三人で、ちょ
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