ためにまた別のつっかい棒がしてある。吾々仲間でその支柱の仕方が果してどれだけ有効であろうかといったようなことを話し合っていたら、通りかかった人足風の二人連れが「アア、それですか、僕達がやったんですよ」と云い捨てて通り抜けた。責任を明らかにしたのである。
 この横町の奥にちょっとした神社があって、石の鳥居が折れ倒れ、石燈籠も倒れている。御手洗《みたらし》の屋根も横倒しになって潰れている。
 この御手洗の屋根の四本の柱の根元を見ると、土台のコンクリートから鉄金棒が突き出ていて、それが木の根の柱の中軸に掘込んだ穴にはまるようになっており、柱の根元を横に穿《うが》った穴にボルトを差込むとそれが土台の金具を貫通して、それで柱の浮上がるのを止めるという仕掛になっていたものらしい。しかし柱の穴にはすっかり古い泥がつまっていて、ボルトなんか挿してあった形跡が見えない。これは、設計では挿すことになっていたのを、つい挿すのを忘れたのか、手を省いて略したのか、それともいったん挿してあったのを盗人か悪戯《いたずら》な子供が抜き去ったか、いずれかであろうと思われた。このボルトが差してあったら多分この屋根は倒れな
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