うハイカラな服装である。そうしてその二人のうちで船首の方に立っている一人は、立派な鬚《ひげ》をさえ生やしているのである。これが筒の掃除をする役をつとめる。胴《どう》の間《ま》の側に立っているこれもスマートな風体の男が装填発火の作業をする役割である。
艫《とも》の方の横木に凭《もた》れて立っている和服にマント鳥打帽の若い男がいちばんの主人株らしい、たぶん今日のプログラムを書いてあるらしい紙片を手に持って立っている。その傍に花火を入れた箱があって、助手がそこから順々に花火の玉を出して打手に渡す。
始めに小さな包のようなものを筒口へ投《ほう》り込んで、すぐその上へ銀色をした球を落し、またその上へ、掌《てのひら》から何かしら粉のようなものを入れる。次にチョッキの隠袋《かくし》から、何か小さなものを出して、火縄でそれに点火したのを、手早く筒口から投げ入れると、半秒足らずくらいの後に、爆然と煙が迸《ほとばし》り出て、鈍い爆音が聞える。煙が綺麗な渦の環になってフワフワと上がって行く、すると高い所で弾が爆発して、それからがいわゆる花火の現象になるのである。
だんだん目が馴れて来ると弾が上がって行
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