く途中の経路を明瞭に認める事が出来る、そして破裂する時に、先ず一方へ閃光《せんこう》のように迸り出る火焔も見え、外被が両分して飛び分れるところも明らかに見る事が出来る。風の影響もあるだろうが、それよりもむしろ、筒口を出る際の、偶然の些細な条件のために、時々は弾道が上の方でひどく彎曲《わんきょく》して、とんでもない方へ行って開く事もある。
 いちばん小さな筒と、その次のとが、最も頻繁に使われる。一発打ち上げたのの煙が、おおかた消える時分に、次のを上げるという順序であるが、筒の大小は変っても、上がるものはたいてい同じような平凡なのが多い。同じくらいの時間間隔を置いて連続的に五回の爆発をやるのがいちばん多いようであった。つづけて五回音がして空中へ五つの煙の団塊が団子のように並ぶだけと云わばそれまでのものである。
「音さえすりゃあ、いいんだね」「音さえすりゃあ、いいんだよ」、こんな事を云いながら、それでもやはり未練らしくいつまでも見物している職人の仲間もあった。見物している連中を見渡してみると、ほとんど労働者階級の人らしく、兵隊や女も少しはまじっていたが、いわゆる知識階級に属するらしい人は一人
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