かせるようになっているはずと思われる。
 目が開閉自在であるという事実に基づくいろいろな現象は、やはりいくらかトーキーに応用されてもいいと思う。たとえばわれわれは音楽を聞きながら目を閉じて聞き入る場合がある。それで、トーキーの場合にも一時スクリーンを暗くして音だけを聞かせることによって効果を高めるということも上手《じょうず》にやればおもしろいに相違ない。
 目を閉じるといろいろの「光の舞踊」が見える。これはある程度までは生理的効果でだれにでも共通なものである。この現象はトーキーでなく無声映画でも利用されうるであろうが、しかしトーキーだといっそう有効に応用されうるわけである。たとえば、画中の人物が蒲団《ふとん》を引っかぶる。スクリーンにこの光の舞踊を思わせるものが適当に映出される。そうして枕《まくら》もとの時計のチクタクだけが高く響く、あるいは枕に押しつけた耳に響く脈搏《みゃくはく》を思わせる雑音を聞かせるのもいいかもしれない。しかし今のところでは発声器械の不完全なために生ずるいろいろな雑音が邪魔になるので、こういう技巧は当然失敗のほかないかもしれない。
 もっともこれらの場合では、観客
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