なんだかたのもしいようななつかしいような気がする。電車の車掌などにもずいぶん古いのがいるがそんなのを見ても同じような気がする。こんな人はやはりどこかいいところのある人間であろうと思われる。
 上野から円タクを雇って深川の清澄公園《きよすみこうえん》へ行って見た。アルコウ会という会と、それから某看護婦会との園遊会でにぎわっている。関東震火災の数日後このへんの焼け野を見て歩いたとき、この庭園の周囲の椎《しい》かなんかの樹立ちが黒焦げになって、園内は避難民の集落になっていた、その当時の光景を想い出した。あの震災のときにはまだ生まれていなかったような年ごろの子供らがおおぜい遊んでいる。
 清洲橋《きよすばし》の近くの一銭蒸汽の待合所を目当てに河岸《かし》を歩いていたら意外な所に芭蕉庵《ばしょうあん》旧跡と称する小祠《しょうし》に行き当たった。そうしてこの偶然の発見のおかげで自分の今まで描いていた芭蕉庵の夢が一度に消えてしまった。
 待合所で船を待っていたら、退屈しているらしい巡査が話しかけた。仏国映画に出るプレジャンという俳優に似た顔をしている。「これから土左衛門《どざえもん》が多いですよ」と
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