柿の種
寺田寅彦

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)曙町《あけぼのちょう》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)友人|松根東洋城《まつねとうようじょう》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「木+眉」、第3水準1−85−86]
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     自序


 大正九年ごろから、友人|松根東洋城《まつねとうようじょう》の主宰する俳句雑誌「渋柿」の巻頭第一ページに、「無題」という題で、時々に短い即興的漫筆を載せて来た。中ごろから小宮豊隆《こみやとよたか》が仲間入りをして、大正十四、五年ごろは豊隆がもっぱらこの欄を受け持った。昭和二年からは、豊隆と自分とがひと月代わりに書くことになった。昭和六年からは「曙町《あけぼのちょう》より」という見出しで、豊隆の「仙台より」と、やはりだいたいひと月代わりに書いて来た。それがだんだんに蓄積してかなりの分量になった。
 今度、もと岩波書店でおなじみの小山二郎《おやまじろう》君が、新たに出版業をはじめるとい
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