な脆さが痛々しかった。が、それだけに、
「こんな子供を裸にして、背中にプスリと刺青を入れてみたら……」
 という、残酷な期待に、針助は全身がうずくようだった。
「――あの針をプスリと……」
 と、針助は部屋の隅の針をちらと見た。針の先は電燈の光を浴びて、白い鋭さに冴えていた。
 針助はギラギラと燃えていた眼を、急にうっとりと細めて、針の先を見つめていたが、やがて、
「ほな、どない言うても、いやか」
 次郎はうなずきながら、思わず三郎に寄り添うた。
 三郎はもう口も利けず、次郎にすがりついていた。
「いやなら、いやでもええ、その代り、お前らを監獄イ入れてやる」
「カンゴク……?」
 次郎と、三郎は、飛び上った。
「そや、お前らわいを掏りけつかったさかい、監獄イ行かんならんぞ」
「かにしとくなはれ。それだけはかにしとくなはれ、カンゴクだけは……」
「ほな、刺青をするか」
 針助の声は急に凄んだ。
「――監獄イ行くのがええか、刺青をするのがええか。どっちや」

    青蛇団

 ヒンブルのお加代――またの名を兵古帯のお加代が、鴈治郎横丁界隈で、大阪の南の空で流星を見て、
「――豹吉!」
 
前へ 次へ
全141ページ中92ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
織田 作之助 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング