と握られながら、死んだようにぐんにゃりとなっていた。
日本橋筋一丁目を過ぎたのも知らなかった。
生魂《いくたま》の石の鳥居のある下寺町を過ぎたのも知らなかった。
下寺町の暗い焼跡の坂を、登って行くと、やがて電車は上本町六丁目に着いた。
「ここや」
針助は次郎と三郎をうながして、出口の方へ行くと、次郎をつかまえていた右手を離して、金を払おうとした。
「逃げるンやったら今や」
次郎ははじめて意識を取り戻して、そう呟いた。が、三郎を残して、自分ひとり逃げては、三郎は可哀想だと思って、じっとしていた。
そして、金を渡した針助が、再び次郎の手首を掴もうとすると、次郎の方から手を出したくらい、もう何もかも素直に諦めていた。
針助は電車を降りると上本町八丁目の方へ歩いて行った。七丁目の、もと停留所のあったところに、交番の灯が見えた。
「向うへ連れて行くんやな」
次郎と三郎はお互の青ざめた情けない顔を見合ったが、針助は黙々として、その前を通り過ぎた。交番の中では、若い少年巡査がきょとんとした眼で、こちらを見たが、べつに誰何しようともしなかった。
次郎と三郎はほっとした。そして、
「一
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