をつけて行った。
三郎は、
「うん」
という声も出ず、唇が真青になるくらい緊張して、ブルブルふるえる足で、次郎のうしろからついて行った。
針助はゆっくりした足取りで、戎《えびす》橋通を北へ真っ直ぐ、電車道へ出ると、地下鉄の入口の灯が夜光虫のように夜のとばりの中で、ひそかに光っている上本町六丁目行きの停留所の方へ、折れて行った。
停留所には十人ばかり客が列を作って、電車を待っていた。
針助はその一番うしろへ並んだ。
ひそかにつけていた次郎は、何くわぬ顔で針助のうしろへ立った。三郎はカチカチ歯を鳴らしながら、不安そうに次郎により添うた。
そして、そっと次郎の袖を引いて、
「兄ちゃん、掏摸になるのン、やめとけ!」
と、眼まぜで知らせたが、次郎は、
「…………」
だまって首を振って、じっと針助の袂をにらんでいた。
しかし、さすがに手は出せなかった。針助に隙がないのか、いや、次郎に勇気がないのだ。おまけに、袂へ手を入れるきっかけがない。
「今や、今や、手エ入れるんやったら、今や」
と、いたずらに頭の中で叫んでいたが、しかし、いくら掏摸になるんだとやぶれかぶれの覚悟をきめても
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