ペコペコや」
 昼日散々、反吐が出るくらい豹吉に食べさせて貰ったのに、三郎はもう腹の皮がひっつきそうだった。
「うん。わいもペコペコや。――銭があったらなあ。もう一ぺんハナヤへ行てうんと食べこましたるんやけどなア」
 と、次郎が言うと、三郎は、
「そや、そや、食べたあとは包んでもろて母ちゃんに土産にする」
「ああ、銭がほしい。――大将、靴みがきまひょ」
「大将、みがきまひょ!」
 一人の男が通り掛ったのだ。
 男はすっと寄って来た。
「オー・ケー」
 おおけに――と、O・Kの意味の二つを含んで言い、次郎がブラシを取り上げて、ひょいと顔を見ると、昼間ハナヤで見た亀吉だった。
「おい、お前ら、兄貴知らんか」
 亀吉は豹吉の居所をききに来たのだった。
「兄貴テ……? ああ、あの掏摸さんだっか」
 と、次郎と三郎は、昼間ハナヤで豹吉を兄貴と呼んでいたことを、想い出した。
「こらッ、大きな声を出すな!」
 街頭で、掏摸という言葉が出ると、さすがに亀吉は臆病だった。
「――あれから、どこイ行きよったか、知らんか」
「さア、知りまへんな。用事だっか」
 と、次郎はませた口を利いた。
「用事どころかい
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