上方のそれではなかった。どこからか大阪へ流れて来た女らしい。
「いや、いらん」
 食堂だと思ったが、夜はカフェに変るのだろうか、いや、朝っぱらからもうカフェじみているわいと思いながら、小沢はぶっ切ら棒に断ったが、ふと思い出して、
「――それより、にぎりを持って来てくれ」
 十五円のライスカレー一皿では、腹が一杯にならなかったのだ。
「にぎり一チョウ!」
「あ、二皿にしてくれ」
 と、小沢はあわてて言った。
「――土産にするから、包んでくれないか」
 阿倍野橋の宿で待っている雪子のことを、想い出したのである。
 雪子も昨夜から何も食べていないのだ。だから、自分で食べるより、雪子のところへ早く持って行って、食べさせてやりたかった。
 が、飯はこれで出来たが、著物はどうすればいいのか。
 売り払って著物の金にかえる筈だった荷物は、しかし駅でなくなってしまった。
「弱ったな」
 げっそりした声を出して、小沢は思わず呟いた。
 手ぶらで帰れば、雪子は今日も宿を出られず、昨夜と同じように一つの部屋で明かさねばならない。
 よしんば、それは我慢するとしても、もう宿賃の払いが心細いのだ。
「昨夜、細工
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