豹吉はじめ青蛇団の連中が、向日葵のように太陽の子に甦生するためにも、心を鬼にして非情の石となって、無理な要求をしなければならぬと、小沢はあわてて自分に言いきかせると、もうきっと冷かな眼をして、
「…………」
 豹吉の少女のような美しい、しかし、やや青ざめた顔を、見つめた。
「…………」
 豹吉も暫らくだまって、小沢を見つめていたが、やがて、投げやりのような微笑をふっと泛べると、
「仕様がない。癪やが、あんたのいう通りにする。あんたには負けたよ。――三十分ここで待っていてくれ。皆んなを連れて来る」
 と、言いながら石段を降りて行こうとした。
「あ。君」
 と、小沢が呼び停めようとすると、豹吉はふと振り向いて、
「心配しなはんな。逃げたりするもんか」
 石段を降りると、豹吉はやがて梅田新道の方へ姿を消した。
 そして半時間たった。
 夜が沈み、小沢の心も重く沈んでいた。
 その重い心の底を、五月の風がさっと冬の風のように吹き渡り、小沢は何か寒々とした想いで、S署の玄関に佇んでいたが、やがてひょいと顔をあげた途端、小沢ははっとした。
 豹吉、お加代、亀吉、唖娘――その他中之島公園で見た青蛇団
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