が一人残らず、風に吹かれて、風のように、小沢の眼の前に現れたのだ。
 予期していたものの、豹吉がこんなに早く説得して連れて来たのを見ると、さすがに驚いた。
 風のように現れた一同は、やがて石段を、氷のような石段を登ると、風のようにS署の中へ姿を消してしまった。
 小沢はそのうしろ姿をじっと見送ったまま、ついて行こうとしなかった、ついて行く気もしなかった。いや、ついて行けなかったのだ。小沢の眼はいつかうるんでいた。

 S署の刑事室――。
 自首した青蛇団の連中の表情には、少しも暗い翳はなかった。
 ことに、豹吉は昂然として、寂しそうな顔なぞ見せず、
「おれたちは堂々と自首したのよ」
 という自虐的な快感を覚えていた。
 それに、豹吉にとって、ますます愉快なことには、青蛇団が自首したことで刑事はすっかり驚いてしまっていた。
 小沢がふん縛って連れて来たガマンの針助の自白によって青蛇団の正体はもう明らかになっていた。だから、S署では明朝を期して、一斉に検挙の網を打とうと考えていた。
 そこへ、いきなり青蛇団が自首して来たのだ。
 針助がつかまったことを、知ってか、知らずにか、――とにかく、
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