揮できないというわけではない。いや、接吻のことを言ってるのじゃない」
クスリという笑い声が起った。
「――僕の言っているのは、言論の自由ということだ。君たち、喧嘩をするくらいだから、むろん双方とも言い分があるんだろう。どちらの言い分が正しいか。僕は第三者としてきいてあげるから遠慮なく言ってみたまえ」
小沢は頬に微笑を浮べながら、言葉をつづけた。
「――諸君は僕をおせっかいと思うだろう。たしかにおせっかいだ。しかし、おせっかいにならざるを得ないのだよ。日本のことを心配するからだ。なるほど、他人のことは放って置けばいいのかも知れない。日本人は島国根性で、偏狭で、すぐ他人のことをとやかく言いたがる。小言幸兵衛が多すぎる。しかも僕は復員したばかしで、明日の米、いや、今日の米にも困る人間だ。他人のことは――いや、他人のことにかかわっている余裕すらない人間なのだ」
そこで小沢はまた一同を見廻して、
「――しかし、げんに暴力沙汰が行われようとしているのを見ながら、放っても置けないじゃないか。だから、おせっかいを買うて出たわけだが、もし、諸者が僕の言ってることの十分ノ一でも判ってくれたら、とに
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