《やど》は何方《どちら》です。』
『中西屋《なかにしや》です。』
『中西屋《なかにしや》は結構《けつかう》です、近來《きんらい》益※[#二の字点、1−2−22]《ます/\》可《い》いやうです。さうだね君《きみ》。』と兔角《とかく》言葉《ことば》の少《すく》ない鈴木巡査《すゞきじゆんさ》に贊成《さんせい》を求《もと》めた。
『さうです。實際《じつさい》彼《あ》の家《うち》が今《いま》一|番《ばん》繁盛《はんじやう》するでしよう。』と關羽《くわんう》の鈴木巡査《すゞきじゆんさ》が答《こた》へた。
先《ま》づこんな有《あ》りふれた問答《もんだふ》から、だん/\談話《はなし》に花《はな》がさいて東京博覽會《とうきようはくらんくわい》の噂《うはさ》、眞鶴近海《まなづるきんかい》の魚漁談《ぎよれふだん》等《とう》で退屈《たいくつ》を免《まぬか》れ、やつと江《え》の浦《うら》に達《たつ》した。
『サアこれから下《くだ》りだ。』と齋藤巡査《さいとうじゆんさ》が威勢《ゐせい》をつけた。
『義母《おつかさん》これから下《くだ》りですよ。』
『さう。』
『隨分《ずゐぶん》亂暴《らんばう》だから用心《ようじ
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