#「のんびり」に傍点]して幾干《いくら》か善心《ぜんしん》に立《た》ちかへるだらうと思《おも》はれる。夏《なつ》も可《よ》し、清明《せいめい》の季節《きせつ》に高地《テーブルランド》の旦道《たんだう》を走《はし》る時《とき》など更《さら》に可《よ》し。
ところが小田原《をだはら》から熱海《あたみ》までの人車鐵道《じんしやてつだう》に此《この》喇叭がある。不愉快《ふゆくわい》千萬な此《この》交通機關《かうつうきくわん》に此《この》鳴物《なりもの》が附《つ》いてる丈《だ》けで如何《どう》か興《きよう》を助《たす》けて居《ゐ》るとは兼《かね》て自分《じぶん》の思《おも》つて居《ゐ》たところである。
先《ま》づ二|臺《だい》の三|等車《とうしや》、次《つぎ》に二|等車《とうしや》が一|臺《だい》、此《この》三|臺《だい》が一|列《れつ》になつてゴロ/\と停車場《ていしやぢやう》を出《で》て、暫時《しばら》くは小田原《をだはら》の場末《ばすゑ》の家立《いへなみ》の間《あひだ》を上《のぼり》には人《ひと》が押《お》し下《くだり》には車《くるま》が走《はし》り、走《はし》る時《とき》は喇叭《らつ
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