》を握《にぎ》りながら、フムと感心のコナシありて、此子《このこ》なか/\話せるワエと、忽《たちま》ち詩箋《しせん》に龍蛇《りうだ》はしり、郵便箱《いうびんばこ》に金玉《きんぎよく》の響《ひゞき》ある事《こと》になるとも、我《われ》また其夜《そのよ》の思寝《おもひね》に和韻《わゐん》の一|詩《し》をすら/\と感得《かんとく》して、先生のみか世人《よのひと》を驚《おどろ》かすも安《やす》かるべしと、門外《もんぐわい》に躊躇《ちうちよ》してつひに入《い》らず、道《みち》引《ひき》かへて百|花園《くわゑん》へと赴《おもむ》きぬ、新《しん》梅屋敷《うめやしき》百|花園《くわゑん》は梅の盛《さか》りなり、御大祭日《ごたいさいび》なれば群集《ぐんしふ》も其筈《そのはず》の事《こと》ながら、是《これ》はまた格別《かくべつ》の賑《にぎ》はひ、郡司大尉《ぐんじたいゐ》の壮行《さうかう》をまのあたり見て、子や孫《まご》に語《かた》りて教草《をしへぐさ》にせんと、送別《さうべつ》の外《ほか》の遊人《いうじん》も多くして、帰《かへ》さは※[#「筑」の「凡」に代えて「おおざと」、第3水準1−89−61]《つゑ》を
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