《さうかう》と予《われ》も共《とも》にするの感あり、其《そ》は此日《このひ》より後《のち》の事《こと》にして、予《よ》は此日《このひ》只一人《たゞひとり》嬉《うれ》しくて、ボンヤリとなり、社員にも辞《じ》せず、ブラ/\と面白《おもしろ》き空想を伴《つれ》にして堤《どて》を北頭《きたがしら》に膝栗毛《ひざくりげ》を歩《あゆ》ませながら、見送《みおく》り果《はて》てドヤ/\と帰る人々が大尉《たいゐ》の年《とし》は幾《いく》つならんの、何処《いづこ》の出生《しゆつしやう》ならんの、或《あるひ》は短艇《ボート》の事《こと》、千島《ちしま》の事抔《ことなど》噂《うはさ》しあへるを耳にしては、夫《それ》は斯《か》く彼《あれ》は此《かう》と話して聞《きか》せたく鼻はうごめきぬ、予《よ》は洋杖《ステツキ》にて足を突《つ》かれし其人《そのひと》にまで、此方《こなた》より笑《ゑみ》を作りて会釈《ゑしやく》したり、予《よ》は何処《いづく》とさして歩《あゆ》みたるにあらず、足《あし》のとまる処《ところ》にて不図《ふと》心付《こゝろづ》けば其処《そこ》、依田学海先生《よだがくかいせんせい》が別荘《べつさう》なり
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