御託宣《ごたくせん》、これが諸方《しよはう》へ引札《ひきふだ》となり、聞人達《もんじんたち》の引付《ひきつけ》で、諸侯方《しよこうがた》まで御出《おいで》になり、わづかのうちに新梅屋敷《しんうめやしき》の名、江都中《えどぢう》に知られ、夫《それ》のみならず先生々々《せんせい/\》の立《たて》こがしに、七草考《なゝくさかう》の都鳥考《みやこどりかう》のと人に作らせて、我名《わがな》にて出版せしゆゑ、知らぬものは真の文雅《ぶんが》の士《し》とおもひ、訪《とひ》よるさへも多ければ、忽《たちま》ち諸国《しよこく》にも園《その》の名を馨《かほ》らせ、枝葉《えだは》の栄《さか》え、それのみか、根堅《ねがた》き名園《めいゑん》を斯《か》く遺《のこ》して年々《ねん/\》の繁昌《はんじやう》、なみ/\の智恵《ちゑ》、生才学《なまさいがく》にて此《こ》の長栄不朽《ちやうえいふきう》の計画《けいくわく》のなるべきや、気を取りにくき聞人《もんじん》の気をよく取りて皆《みな》我用《わがよう》となしたるは、多く得《え》がたき才物《さいぶつ》なり、もし戦国《せんごく》の時《とき》にあらば、うまく英雄の心を攬《と》り
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