来の閲歴《えつれき》に聞人達《もんじんたち》の気風《きふう》を呑込《のみこみ》たれば、只《たゞ》で諸名家《しよめいか》の御休息所《ごきうそくじよ》を作り、其《そ》の御褒美《ごほうび》には梅《うめ》一|本《ぽん》づゝ植《うゑ》て下《くだ》されと、金《かね》と卑劣《ひれつ》に出《いで》ざる名案《めいあん》、梅《うめ》一|本《ぽん》の寄附主《きふぬし》が、和尚《おしよう》如何《どう》だナ抔《など》と扶持《ふち》でもして置《お》くやうに巾《はゞ》を利《き》かせて、茶の呑倒《のみたふ》しを、コレハ先生よくこそ御来臨《ごらいりん》、幸《さいは》ひ左《さ》る方《かた》より到来《たうらい》の銘酒《めいしゆ》、これも先生に口を切《きつ》て頂《いただ》くは、青州《せいしう》従事《じゆうじ》が好造化《かうざうくわ》などゝ聞《きゝ》かぢりと、態《わざ》と知らせて馬鹿《ばか》がらせて悦《よろこ》ばせれば、大面先生《おほづらせんせい》横平《よこひら》たく、其面《そのつら》を振《ふ》り廻《まは》し、菊塢《きくう》は可笑《をかし》い奴《やつ》だ、今度の会は彼処《あすこ》で催《もよほ》してやらうと有難《ありがた》くない
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