狽オて盡すべき服從を缺くことがある。かかる場合には、彼(その都督)は首を刎られ、食べられて仕舞ふ。支那人は刀劍で殺害された(即ち病死にあらざる)、すべての人の肉を食用する(Reinaud; Tome I, pp. 52−53. Ferrand; p. 67)。
Renaudot の譯は、單に、
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支那皇帝の領土内にある都督が罪を犯す時は、彼は死に處せられ、食べられて仕舞ふ。概していへば、支那人は死に處せられた、すべての(罪)人を食用する(p. 25)。
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となつて居る。
(※[#ローマ数字II、1−13−22])[#「(※[#ローマ数字II、1−13−22])」は縦中横] 支那帝國はこれ(黄巣の亂)以來、かつてアレキサンダーがダリウスを殺させ、ペルシアの土地をその(部下)將軍達(〔ge'ne'reux〕)に分つた時に、ペルシアが陷つたと同樣の状態となつた。支那の各地方の(割據せる)都督達は、一層その勢力を増進せんが爲に、君主(souverain 即ち皇帝)の許可も命令もなしに、各自(勝手)に同盟を結んだ。彼等の一人が(より劣勢なる)他(の都督)を討ち滅ぼすに從ひ、彼は後者の所領を併せ、その土地をすべて荒し、その住民を食ひ盡くした。事實支那人の法律は、人肉を食ふことを認可し、人肉が諸市場(〔marche's〕)で、公然と販賣されて居る(Renaudot; pp. 34−35. Reinaud; Tome I, pp. 67−68.Ferrand; p. 78)。
Renaudot 譯は、「支那人の法律」(la loi chinoise)の代りに「彼等の宗教の法規」(the laws of their religion)となつて居る。その他は大同小異に過ぎぬ。
Ferrand 譯はこの文章の前半に於て多少の相違があつて、
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支那はキスラー(〔Kisra^〕)の時、アレキサンダーがダリウス大王を殺さしめて、ペルシアをその將軍達の間に分つた時に、ペルシアが陷つたと同樣の状態となつた。支那の(各)地方の行政權を簒つた叛徒達(rebelles)(即ち獨立せる地方都督達)は、國王の許可も命令もなしに、(勝手に)彼等の目的を貫徹すべく、相互に助け合つた。彼等の一人がより強大となつて、より劣勢の者を打ち倒すと、征
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