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とある。
 また『隔簾花影』の第三十八囘に、南宋の岳飛が揚州を囘復して、かねて金軍の手先となつて支那人を虐待した、所謂漢奸の重なる者を捕へて處分した時の光景を描いて、
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那時《ソノトキ》百姓。上千上萬《セントナクマントナク》。……走致[#二]揚州府前。市心裏[#一]。那裏等[#二]得開刀[#一]。早被[#二]百姓|們《ドモ》上來[#一]。※[#「にんべん+爾」、第3水準1−14−45]一刀。我一刀。零分碎※[#「咼+りっとう」、177−10]去吃了。只|落《ノコス》[#二]得|一個孤椿《ヒトツノポウ》[#一]。※[#「糸+邦」、177−11]《シバラレテ》在[#二]市心[#一]。開[#二]了※[#「月+堂」、177−11][#一]取[#二]心肝五臟[#一]。纔割[#二]下頭[#一]來。
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とある。『水滸傳』には隨所に食人肉の記事が見えて、一々開列するに堪へぬ。その第十囘に、朱貴が梁山泊畔に酒店を開き、往來の富商を劫略することを記して、
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輕則|蒙汗藥《シビレクスリニテ》麻翻。重則|登時結果《スグサマコロシ》。將[#二]精肉[#一]爲[#二]※[#「羊+巴」、177−14]子[#一]。肥肉煎[#レ]油點[#レ]燈。
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とある。第二十六囘には張青夫婦が行人を殺害して、その肉にて肉饅頭を作つて販賣することを記して、
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這等肥胖《コノフトツタヤツ》。好做[#二]黄牛肉[#一]賣。那《カノ》兩箇|痩蠻子《ヤセタミナミシナジン》。只好做[#二]水牛肉[#一]賣。
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といひ、その人肉料理場の有樣を描きて、
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張青便引[#二]武松[#一]。到[#二]人肉作坊裏[#一]看時。見[#下]壁上|※[#「糸+朋」、178−1]《ハリ》[#二]着《ツケ》幾張人皮[#一]。梁上|吊《ツリ》[#中]着《サゲ》五七條人腿[#上]。見[#二]那兩箇公人[#一]。一顛一倒。挺著在[#二]剥人※[#「登/几」、第4水準2−3−19]上[#一]。
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といふ。第三十五囘に掲陽嶺の酒店裏で、宋江一行が、
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如今江湖上|歹人《ワルモノ》。多有。萬千好漢。着[#二]了道兒[#一]的。酒店裏下[#二]了蒙汗藥
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