、意義不明なるを恐れ、かくは注解的に閹割の二字を添加したものであらう。元時代には蒙古の政府は高壓的に、高麗(朝鮮)から宮婢や宦官を貢進させて居る。故に元時代の宦官に、高麗出身が尠くない。元の順帝時代に、高麗出身の祁皇后と共に、尤も後宮に權勢を振うた宦官の朴不花の如きも、高麗出身であつた。故に隋・唐以後に於ける宦官の出身を檢すると、(一)志願者、(二)死罪輕減者、(三)蠻人の捕虜(外國産の奴隷)、(四)外國人の貢進と、大體四種に區別することが出來る。就中主要なものは勿論第一の志願者で、十の八九まではこの出身であつた。
自分から進んで宦官を志願するなど、常識では考へられぬが、利慾に目のない支那人のこと故、將來の富貴出世を目當に、存外志願者が多い。兩親が行々宦官に仕立てる目的で、その子供を幼少の時に割勢するものが中々多數である。中年者が賦役を逃がれ富貴を夢みて、割勢する者も尠くない。〔割勢する際には、無論之が爲に生命を喪ふ場合もある。マホメット教國に於ける經驗によると、割勢者の約半數以上は死亡するといふ。故にマホメット教國では、割勢した奴隷の價格は、普通の奴隷より二倍若くば三倍高い。支那に
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