支那の宦官
桑原隲藏
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)宛《あたか》も
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(例)※[#「鼻+りつとう」、第3水準1−14−65]
[#…]:返り点
(例)墨者使[#レ]守[#レ]門。
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一
最近の新聞紙の報道によると、支那の宣統〔前〕帝は、宮廷所屬の宦官の不埒を怒り、彼等を一律に放逐して、爾後永遠に使役せぬといふ諭旨を發布されたといふことである。その動機は論ぜず、その理由は問はず、事件そのものが、兔に角一大壯擧たるを失はぬと思ふ。
宦官は必ずしも支那の專有物でない。古代の西アジア諸國、ついでギリシア、ローマにも宦官が使役された。マホメット教國では、一般に宦官を使用した。印度のムガール王家などは、幾千といふ多數の宦官を備へた。此等の宦官は何れも君側に侍するので、時に政治上に相當の權勢を振うたことも稀有でない。我が日本の如く、古來宦官の存在せぬ國は、寧ろ珍しい方である。朝鮮や安南なども、支那の風
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