となく韋で編み連ねて用を辨じた。之を策といふ。策は册と同字で、許愼の『説文解字』には正しく※[#「册」の篆書(fig42345_01.png)、70−3] に作る。之は簡を韋で編み連ねた形に象つたので、所謂象形文字である。唐の孔頴達の『左傳正義』に、
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簡之所[#レ]容一行字耳。牘乃方版。版廣[#二]於簡[#一]。可[#三]以竝[#二]容數行[#一]。凡爲[#二]書字[#一]。有[#レ]多有[#レ]少。數行可[#レ]盡者。書[#二]之於方[#一]。方所[#レ]不[#レ]容者。乃書[#二]於策[#一](2)。
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とあるのが即ち是である。先秦時代には、字數の僅なる事柄は簡に書き、法律の箇條などは版に書き、書籍は大抵策に書いた。今も一篇二篇というて書籍を數へるのはその名殘である。戰國時代から、帛も間々書寫の材料として使用さるることとなつたが、帛に書いた書籍は一卷二卷と數へた。
兔も角も先秦時代では、書籍は大抵策に寫されたもので、重量容積多大にして不便極り、費用も嵩み、たとひ帛を使用しても、費用は一層であるから、中々一個人では書籍を所有する事が出
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