の戦争への準備にすぎないのである。科学的発明も、化学工業も、鉄道敷設も、電信も道路の開通も、すべてが、資本主義の下にあっては、戦争準備の目標に向って集中されている。それは直接間接にプロレタリアの生活に重大な関係を持っている。反戦文学の恒常性はこゝに存在する。資本主義制度が存在する限り、プロレタリアートの反戦文学も存在し、それに向って戦わなければならない。

      二

 反戦文学は、勿論、兵営や、軍隊生活のみを取扱う文学ではない。資本主義は、次の戦争に備えるために、あらゆるものを利用している。労働者、農民の若者を××に引きずりこんで、誰れ彼れの差別なく同じ××を着せる。人間を一ツの最も使いいゝ型にはめこんでしまおうとする。そうして、労働者農民の群れは、鉄砲をかついで変装行列のような行列をやりだす。――これは、帝国主義ブルジョアジーが××によって、プロレタリアートを搾取する、その準備にやる行為の一ツである。そのほか、学校も、青年訓練所も、在郷軍人会も、彼等の××のための道具となっている。製鉄所も、化学工場も、肥料会社も――そして、そこに働いている労働者が――戦争のために使われる。化
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