ことをおこりました。
「あいつめ、あんな小ぞうつ子にコーリヤを送つてよこさせるなんて、ひどいやつだ。リカはどこにゐるんだ。」
「台所に。馬に乾草をやつて、じぶんはストーヴの上であたつてゐるの。」
お父さんは台所へいきました。あとから子どもたちもぞろ/\ついていきました。
リカは靴をぬぎ、帯もとつて、テイブルの前にすわつてゐました。下女が、お茶をくんでやつてゐました。リカの顔は、まつ赤になつてゐます。鼻の先の皮がむけ、ぬれた麻色の髪の毛が、大きな頭の上にぺつたりと、くつついてゐます。
「おいリカ。」とお父さんはどなりました。
「一たい、おまいみたいなものをよこすなんてどうしたわけだ。おまい、いくつだ。」
「おれァ赤ん坊ぢあねえよ。」
リカは、ぶつきらぼうに答へました。
「もつと遠くへだつて一人でいくんだよ。ここまでぐらゐなんでもねえよ。」
「とちゆうで、もし、まちがひがあつたらどうするんだ。おまいにはまだ馬がじゆうにはなるまい。」
「おれに?」
リカは笑ひました。
「三頭びきだつてやれるよ。二頭ぐらゐなんでもないよ。」
「ふうん、そいつあ、えらいな。」とお父さんはいひました。
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