レーワと、ボーリヤと、サシュールカは、びつくりしたやうな目をして、リカをみてゐましたが、じぶんたちも、リカとお話がしたくなつたらしく、すこしづゝそばへよつてきました。
「家へね、今にクリスマスの飾りもみの木がくるわよ。」とボーリヤがいひました。
「あつちへおいでなさい。」とお父さんはいひました。
「こゝはお前たちのくるところぢやありません。」
 子どもたちは、しかたなしに、いや/\台所を出ていきました。けれど、お父さんがお部屋へいつてしまふと、すぐまた台所へやつてきました。
「ね、家へね、クリスマスのもみの木がくるのよ。」
「ふん来るものは来させるがいゝよ。」とリカはいひました。
「それよりかお母さんに言つてくんな。金をくんなつて。一ルーブル八十コペックだよ。」
 リカは、お茶をやたらにのみました。で、すつかり汗をかいて、ためいきをしながら窓の外をみて下女にいひました。
「ふう。なんてひどい天気だらう。一晩とまらなきあならないな。お前おれをおひ出しやしないね。」
「リカが家へ泊るんだつて。」と、子どもたちは、うれしさうにさけびました。
「だけど、お前どこにねるの?」と下女がきゝます。

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