の形でそのひとがどのような女性であるかが判らないでもない。
しかし往古の女性のような日本的美感の伴わないものの多いのは残念である。
せっかく親から享けたあたら眉毛を剃り落し、嫁入り前の若い身で一たん青眉にし、その上へすすきの葉のようにほそい放物線を描いたりしているのは、あまり美的なものとは言えないのである。
その放物線の果てがどこで終るのかと心配になるほど髪の生えぎわまでものばしている描き眉にいたっては、国籍をさえ疑いたくなるのである。そのようにして自分の顔の調和をこわさなくてはならぬ女性というのは、一体どういう考えを自分の顔にたいして持っているのであろう。ああいう眉に日本女性の美しさは微塵も感じない。
感じないはずで、その拠って来たところのものがアメリカ女優の模倣であるから、日本の女性にしっくり合わないのは当然すぎるほど当然の理なのである。
私はもちろん美しい新月のように秀でた自前[#「自前」に傍点]の眉に美と愛着は感じてはいるが、その秀でた美しい自前[#「自前」に傍点]の眉毛を剃り落したあの青眉にたまらない魅力を感じているひとりなのである。
青眉というのは嫁入りして
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