思っているのですが、或《ある》いは贋物《にせもの》かも知れません。とにかく佐兵衛に見せて、そこはあなた様も抜け目なく、相応の値段で売りつけてやって下さい。贋物であっても、出来は悪くない色紙のようですから、五十両と吹かけてみて下さい。売れましたら、観音像の代金と一緒に、お手数でも、こちらへすぐにお送り願います。このたびは、あなた様にもいろいろ御手数をかけるわけですが、御礼として縞《しま》の羽織を差上げたいと思います。それはいま九郎助が持っているのです。ちょっと粋《いき》な縞で、裏の絹もずいぶん上等のものです。九郎助は駕籠かきのくせに、おしゃれな男で、あの羽織をむやみに着たがりますので、私は一時借してやってそのままになっているのです。決してくれてやったのではありませんから、どうか九郎助から取り上げてあなた様がお召しになって下さい。あんな恩知らずの九郎助には、もっともっとこらしめを見せてやりたいと思います。かまいませんから、あれを九郎助から取上げてやって下さい。あなた様は色が白いから、きっとあの羽織はお似合いの事と思います。私は色が黒いのであの羽織は少しも似合いませんでした。墨染の衣だけでも
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