新釈諸国噺
太宰治
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)振仮名を附《つ》けたい気持で
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)新釈|諸国噺《しょこくばなし》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#地から2字上げ]昭和十九年晩秋、三鷹《みたか》の草屋に於て
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凡例
一、わたくしのさいかく、とでも振仮名を附《つ》けたい気持で、新釈|諸国噺《しょこくばなし》という題にしたのであるが、これは西鶴《さいかく》の現代訳というようなものでは決してない。古典の現代訳なんて、およそ、意味の無いものである。作家の為《な》すべき業《わざ》ではない。三年ほど前に、私は聊斎志異《りょうさいしい》の中の一つの物語を骨子《こっし》として、大いに私の勝手な空想を按配《あんばい》し、「清貧譚《せいひんたん》」という短篇《たんぺん》小説に仕上げて、この「新潮」の新年号に載せさせてもらった事があるけれども、だいたいあのような流儀で、いささか読者に珍味異香を進上しようと努めてみるつもりなのである。西鶴は、世界で一ばん偉い作家である。メリメ、
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