、この下の渓流には鮎《あゆ》がうようよいて、私は出家の身ながら、なまぐさを時たま食べないと骨ばなれして五体がだるくてたまらなくなりますので、とって食おうと思い、さまざま工夫してみましたが、鮎もやはり生類《しょうるい》、なかなかすばしこく、不器用な私にはとても捕獲出来ず、そのような私のむだな努力の姿を里人に見つけられ、里人は私のなまぐさ坊主たる事を看破致し、それにつけ込んで、にやにや笑いながら鮎の串焼《くしやき》など持って来て、おどろくほど高いお金を請求いたします。私は、もうここの里人から、すっかり馬鹿にされて、どしどしお金を捲《ま》き上げられ、犬の毛皮を熊の毛皮だと言って買わされたり、また先日は、すりばちをさかさにして持って来て、これは富士山の置き物で、御出家の床の間にふさわしい、安くします、と言い、あまりに人をなめた仕打ち故《ゆえ》、私はくやし涙にむせかえりました。それにつけても、お金が欲しく、そろそろ富籤《とみくじ》の当り番がわかった頃《ころ》だと思いますが、私のは、たしか、イの六百八十九番だった筈《はず》です。当っているでしょうか。あの富籤を、京の家の私の寝間、床柱の根もとの節穴
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