れ、落葉が風に吹かれて地を這《は》う音を、都の人の足音かと飛立って外に駈《か》け出し、蕭条《しょうじょう》たる冬木立を眺めて溜息《ためいき》をつき、夜は早く寝て風が雨戸をゆり動かすのを、もしや家から親御さまのお迎えかなど、らちも無い空頼みしていそいで雨戸をあけると寒月|皎々《こうこう》と中空に懸《かか》り、わが身ひとつはもとの身にして、南無阿弥陀《なむあみだ》と心底からの御念仏を申し、掛蒲団《かけぶとん》を裏返しにして掛けて寝ると恋しい女の面影《おもかげ》を夢に見ると言伝えられているようですから、こんな淋《さび》しい夜にこそ、と思うのですが、さて、私にはこれぞと定《きま》った恋人も無く、誰でもいいとはいうものの、さあ、誰の面影が出るか、など考えて、実に馬鹿らしくなり、深夜|暗闇《くらやみ》の中でひとりくすくす笑ってしまいました。ばばさまの面影などが出ては、たまりません。こんな味気ない夜には、お酒でもあると助かるのですが、この辺の地酒は、へんにすっぱくて胸にもたれ、その上、たいへん高価なので、いまいましく、十日にいちど五合くらい買って我慢しています。この山里の人は、何かと慾《よく》が深く
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