読んで、学校の勉強は、ちっともしていないんだぜ。あいつも、いよいよ革命の党員になったか、いや、それとも、失恋かな? とにかく、あんな工合じゃ、いけない。こんどは、落第するかも知れない。あいつは清国《しんこく》政府から選ばれて、日本に派遣《はけん》されて来た秀才だ。日本は、あいつに立派な学問を教え込んでやって帰国させなければ、清国政府に対して面目が無い。僕たち友人の責任も、だから、重大なんだよ。あいつは、どうもこのごろ僕を馬鹿にしているらしくて、僕がさまざまの忠告を試みても、ただ黙ってにやにや笑っている。薄気味が悪くなった。お前の言う事なら、きくかも知れない。いつか、思い切ってこっぴどくやっつけてやったら、どうだい。眼を覚ませ! と言って鉄拳《てっけん》でも加えてやると、心を改めて勉強するようになるかも知れない。」
 私は、この手記の二、三箇所において、津田氏を嘲笑するような筆致を弄《ろう》した事を、いまは後悔している。よく考えてみると、周さんを最も愛していたのは、この津田氏ではなかったかしら、というような気さえして来る。いよいよ周さんと別れなければならなくなって、そのささやかな内輪の送
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