惜別
太宰治

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)不精鬚《ぶしょうひげ》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)大いに自由|闊達《かったつ》に、

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「穴かんむり/目」、第3水準1−89−50]

〔〕:アクセント分解された欧文をかこむ
(例)もう 〔natu:rlich〕 なのですね。
アクセント分解についての詳細は下記URLを参照してください
http://aozora.gr.jp/accent_separation.html
−−

[#ここから2字下げ]
これは日本の東北地方の某村に開業している一老医師の手記である。
[#ここで字下げ終わり]


 先日、この地方の新聞社の記者だと称する不精鬚《ぶしょうひげ》をはやした顔色のわるい中年の男がやって来て、あなたは今の東北帝大医学部の前身の仙台医専を卒業したお方と聞いているが、それに違いないか、と問う。そのとおりだ、と私は答えた。
「明治三十七年の入学
次へ
全198ページ中1ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
太宰 治 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング