抗した文芸を試みていそうな気もするのですがね。僕はどうも、ただ理窟っぽいばかりで、詩や小説の才能が貧しいように思われますから、まあ、そんな圧迫されている民族の反抗の作品などを捜し出して支那語に訳し、僕の同胞に読ませてやりたいと思っているのです。しかし、飜訳《ほんやく》だって文章が下手《へた》では、仕様がありませんからね。国にいる僕の弟の作人は、失礼ながら、笑い顔など、あなたにちょっと似ているのですが、あれは、小さい時から僕なんかよりずっと文章が上手《じょうず》でした。まあ、これから弟に教えられて、兄弟合作という事にでもして、少しずつ文芸の飜訳をしてみたいと思っているのです。それでこのごろ、筆ならしに、いろんな文章を書いてみているのですが、」と言って机の引出しから一冊のノオトを取出しぱらぱらめくって、「こんなのは、どうでしょうか。いや、御覧になっても、支那の文章では、おわかりにならないでしょう? 一箇所だけ、日本文に直してみましょうか。」
彼は便箋に何の苦もなくすらすら数行書き流し、それから急に顔を赤くしてためらいながら私にそれを手渡した。私は一読して、名文だと思った。私はその日、無理
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