学生たちの情熱は決して間違ってはいないのだ。一緒に叫んでやったらどうだ。てれくさいの何のというのは、お前の虚栄だ。お前には少し、不健康な虚無主義者の匂いがあるぞ。お前の顔には、あの奴隷の微笑があらわれかけているぞ。気をつけろ。お前の心から暗黒を放逐《ほうちく》し、不自然でもかまわぬ、明るい光を添えて見ろ、と自身を叱り鞭打《むちう》って、自分の航路を規定したく、舵《かじ》を釘《くぎ》づけにする気持で、よっぽど僕は革命の党員にしてもらおうかとさえ思ったのですが、しかし、」と言いかけ、急にそわそわし出して、「何時ですか、もう、おそいんじゃありませんか?」
私は時刻を告げた。
「そうですか? も少しお邪魔さしてもらってもいいですか?」と醜い卑屈の笑いを浮べて、「僕はこのごろ、人の気持が、わからなくなってしまいました。支那の者どうしでも、わからない事が多いのに、まして、国籍を異にしている人と人との間では、わからないのは当然でしょうけれど、僕は、あなたに今まで少し甘えすぎていたような気がするのです。あなたばかりではない、藤野先生にも、また、この下宿の父さん母さんにも、僕は少しいい気になりすぎてい
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