ました。僕は矢島さんなどのあんな手紙が、かえってさっぱりしていていいと思うのです。支那人は劣等だから、いい成績がとれるわけはないと、はっきりした態度を示してくれる。そうすると、こちらの気持もきまって、たすかります。温情は、どうも、つらくていけません。これから、あなたも、どうか思ったとおりの事を僕にいって下さいよ。この下宿では、こんなにおそくまで、僕なんかが話込んでいると、いやがるんじゃないですか。大丈夫ですか?」
 私は黙っていた。こんなにいやらしく遠慮するお客ならば、或いは下宿の人たちも嫌悪するかも知れないと思った。
「怒ったようですね。僕は、でも、やっぱり、あなたにだけは安心しているようです。松島以来、あなたにはずいぶんつまらぬ愚痴ばかり聞いてもらいました。医学救国か。」と言って、ふんと笑い、「幼稚な三段論法を、でっち上げたものです。あんなのを、屁理窟《へりくつ》というのですね。科学。どうして僕は、あれほど科学を畏怖《いふ》していたのだろう。子供がマッチを喜ぶたぐいでしょうかね。いじらしいものだ。しかし子供がそのまま科学の武器を使用したら、どんなことになるかな? かえって悲惨なこと
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