いるらしく、仙台の子供たちさえ、いつのまにかそのパピロスという言葉を覚えてしまって、捕虜たちに向って、パピロスほしいか、と呼びかけて捕虜が首肯《うなず》くとよろこび勇んで煙草屋に駈けつけ、煙草を買って与えて、得意がっていたものである。「僕は、あの人たちにパピロスを与えて、それでも、あの人たちがあまりに平然としているので、何か僕のほうで恥かしいような気がしたものです。侮辱をさえ感じました。ひょっとしたらこの捕虜は、僕が支那人である事を見抜いているのではないか。そうして支那の現状が、そろそろ列国の奴隷になりかけているのを知って、彼等は、僕に対してだけ特に、優越感を抱いているのではなかろうか、いや、たしかにそれは僕のひがみなんです。そうです。僕がこんど東京で覚えて来たものは、この、ひがみです。僕は、不安なのです。自国の民衆の救済に就《つ》いて、非常な不安を感じるようになりまオた。いま思えば、あの松島に於ける気焔は、非常に幼稚なものでした。自分のあの頃の単純幼稚がなつかしいと同時に、恥かしい。思い出しては、ひとりで赤面しています。なんとまあ、あどけない理論に酔っていたのでしょう。僕はあの頃、た
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